天空の蛹(てんくうのさなぎ)1部 第二章 『マユと桑子』⑤ 留吉は気が付くと、ダンスホールではない場所に立っており、困惑する。(ん?ここは何所だ?) 視力は少し戻っているのだろうか。水の中で目を開けた時のように、ぼやけているが、何があるのか、どういう場所にいるかは分かる程度には回復しているようだ。 ... 2025.06.23 天空の蛹(てんくうのさなぎ)1部小説長編
天空の蛹(てんくうのさなぎ)1部 第二章 『マユと桑子』④ 五年程前 『叶虎』のダンスホール。中に入ると、奥のステージで奏者は、ジャズを奏でており、それに合わせて若い男女が手を取り、社交ダンスを踊っている。(凄く風紀が乱れている……) こんな場所に姉が通っていたという事に、留吉は呆れ、溜息が自然に零... 2025.06.22 天空の蛹(てんくうのさなぎ)1部小説長編
天空の蛹(てんくうのさなぎ)1部 第二章 『マユと桑子』③ 市電で北東へ、県境の駅で汽車に乗り換え、角之上の港町へ。 空が曇っており、片頭痛がマユを襲う。「うぅ……頭が……」「全く、マユはどうしようもないな……ぼやっとしてると、置いていく」 そう言う彼の肩に玉之丞が乗っており、乗り物酔いしたのか、い... 2025.06.21 天空の蛹(てんくうのさなぎ)1部小説長編
天空の蛹(てんくうのさなぎ)1部 第二章 『マユと桑子』② 広い居間は学校の教室くらいの大きさで、西洋から取り寄せた絨毯に、フカフカなソファー、棚の上にはワニや猛禽類の剥製が置いてある。ラジオから今流行っているらしい歌謡曲が流れているが、時間帯からかそれがジャズの演奏に切り替わった。 だが、ソファー... 2025.06.20 天空の蛹(てんくうのさなぎ)1部小説長編
天空の蛹(てんくうのさなぎ)1部 第二章 『マユと桑子』① マユは陸軍基地で、衛生兵の『衛星(えいせい)』とリハビリを行っている。「いつものぶつかると、電球が光るやつをしますからね」 それは赤子の玩具のような見た目で、太いワイヤーで出来たグネグネとしたもの。同じ素材の輪っかとそれが触れると、付属して... 2025.06.19 天空の蛹(てんくうのさなぎ)1部小説長編
天空の蛹(てんくうのさなぎ)1部 第一章 『西洋乙女』③ (なんか、盛り上がっちゃったな……) 市電の中から見える景色は、街灯が輝き、とても煌めいている。そして、酒を飲みすぎたのか、マユは少し具合が悪い。マユはあの後、悟と百貨店を出て、ダンスホールに行き、一踊りしてきた。ダンスホールなら、公共の場... 2025.06.18 天空の蛹(てんくうのさなぎ)1部小説長編
天空の蛹(てんくうのさなぎ)1部 第一章 『西洋乙女』② 雲一つない快晴、滑走路には華族と、成り上がりの金持ちのプロペラ機が並んでいる。「マユさん、自分たちは外食に行くけど、一緒に行く?」 作業着を着た若い男性達がマユを食事に誘う。「ありがとうございます。でも、父がお弁当を持たせてくれたので、また... 2025.06.17 天空の蛹(てんくうのさなぎ)1部小説
天空の蛹(てんくうのさなぎ)1部 第一章 『西洋乙女』① 東洋の国には、太古の時代から人間よりも上の存在、聖獣がいる。 太古の東洋人は神として彼らに頼り、一緒に共存し、繁栄していた。 五十年前の北洋人との戦争も、聖獣の力を借りた東洋側が勝ち、東洋人は彼らに社、寺院を与えるのだった。聖獣から知恵を、... 2025.06.16 天空の蛹(てんくうのさなぎ)1部小説
天空の蛹(てんくうのさなぎ)1部 序章 「この時期の海に落ちたら、一瞬で凍死するぞ!」 254年 師走、夜の十一時頃、天候は大雨。 乙女を乗せた移送用の軍艦は、荒れた海を渡る。「前方に巨大な生物の影!あれは――海龍?いいえ、シーサーペントであります!」 見張りの将校は、雨で濡れた... 2025.06.15 天空の蛹(てんくうのさなぎ)1部