ポアリの歩有

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 第三章『召喚と掃除の憂鬱』②

『すみません、これは自分の手違いです』「いいんです。アーノルドさん、私も悪いので……」 生徒指導室で、アーノルドと反省会をした。 生徒会室は二年生のクラスの隣、一番奥にあり、私は初めて入った。 本棚には、カウンセリングや心理学の本が、ずらり...
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 第三章『召喚と掃除の憂鬱』①

二学期が始まった。 クラスは生徒会の副会長と書記と一緒で、授業や隙間時間は、三人で行動する事になった。(知り合いがいるのはありがたいけれど……)「ポアリちゃん、放課後一緒にチェスしようよ?」「いや、ポアリちゃんは、そんなミニゲームに興味ない...
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 第二章『幽霊を物理で殴りに行こう』⑥

ロベルトは、鉄格子の隙間をすり抜けた。「痛てて、さっき尻もちついた時に腰痛めちゃったから。よっと」 それに新聞部が続く。 見た目は格子に引っ掛かりそうな下腹だが、幻影なので楽々すり抜けた。「ポアリちゃんも早く――?」 そこでロベルトはポアリ...
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 第二章『幽霊を物理で殴りに行こう』⑤

「ポアリちゃん、大丈夫かな――」「しっかりしているし、大丈夫なんじゃないかな。それより、ロベルト大変だったね」 新聞部の彼が一眼レフのファインダーから、ロベルトに視線を戻す。 そう言った自身は怪我どころか、汚れ一つ無いのに対し、ロベルトはか...
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 第二章『幽霊を物理で殴りに行こう』④

脳震盪で意識を失っていると、夢を見た。「歩有ちゃん」 幼馴染の大河と一緒に、お花畑で花を摘んでいる夢だ。 私は彼の百万点の笑顔に照れながら、花で髪飾りを編む。「歩有ちゃん上手だね。僕も少し不細工だけれど作れたよ」「大河君、上手だよ。初めてだ...
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 第二章『幽霊を物理で殴りに行こう』③

「また、捨てられちゃった――」 ロベルトは鼻を啜りながら、鉄格子に腕を通し、項垂れる。 すると、近くから声がロベルトを呼ぶ声が聞こえた。「あれ?ロベルトじゃん」 声の方を見ると、新聞部の部長だった。「何?泣いてたの?」 彼は面白い物を見たよ...
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 第二章『幽霊を物理で殴りに行こう』②

寮を出ると、肌を涼しい風が顔や露出している腕を撫でる。 ジリジリと焼けるような日中と違い、秋の夜中のような気温で過ごしやすさを感じる。 鈴虫に似た虫の鳴き声が聞こえ、耳が心地よい。(夜の散歩もいいなぁ――) 中学の頃、夕方から夜まで塾に通っ...
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 第二章『幽霊を物理で殴りに行こう』①

「一応、方位磁石と魔法石と地図と――」 夕食後、彼は探検の為に準備をしていた。「魔法石は分かるけれど、方位磁石って――校内を探索するだけだから、遭難しないでしょ?」「それで遭難したらどうするの?」 そう呆れながら言うのだが、彼は必要だと言う...
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 第一章『確かに性別は指定しなかったけれど』④

「着替えとタオル、ここに置いておくからね」 シャワーを浴びていると、浴室の扉を挟んで彼が自分に声をかけた。「ありがとう」 自分は扉越しに礼を言う。 彼は『ロベルト・ロバート』いう名前らしい。 思い出したという訳ではなく、テーブルに置きっぱな...
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 第一章『確かに性別は指定しなかったけれど』③

結局、二人を見放すことが出来ず、私が蛇と戦うために、技を出して、森は半焼。 言う事にして、おじさんにお願いして、もみ消してもらったんだっけ。 彼を思い出す。『ポアリちゃん。おじさんはいつでもいいからね』 お願いをする為に対面した時、肩を含め...