ポアリの歩有

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 第二章『幽霊を物理で殴りに行こう』①

「一応、方位磁石と魔法石と地図と――」 夕食後、彼は探検の為に準備をしていた。「魔法石は分かるけれど、方位磁石って――校内を探索するだけだから、遭難しないでしょ?」「それで遭難したらどうするの?」 そう呆れながら言うのだが、彼は必要だと言う...
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 第一章『確かに性別は指定しなかったけれど』④

「着替えとタオル、ここに置いておくからね」 シャワーを浴びていると、浴室の扉を挟んで彼が自分に声をかけた。「ありがとう」 自分は扉越しに礼を言う。 彼は『ロベルト・ロバート』いう名前らしい。 思い出したという訳ではなく、テーブルに置きっぱな...
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 第一章『確かに性別は指定しなかったけれど』③

結局、二人を見放すことが出来ず、私が蛇と戦うために、技を出して、森は半焼。 言う事にして、おじさんにお願いして、もみ消してもらったんだっけ。 彼を思い出す。『ポアリちゃん。おじさんはいつでもいいからね』 お願いをする為に対面した時、肩を含め...
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 第一章『確かに性別は指定しなかったけれど』②

「生徒会長の蛇だったとは……」 場所は変わって学園の生徒会室。「可愛いでちゅね。お肌ツルツル」 一人の男子がソファーに座っていて、カラフルな蛇に話しかけている。 防護服を着ている生徒がそのままの恰好で、紅茶が入ったカップと、クッキーを出して...
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 第一章『確かに性別は指定しなかったけれど』①

数人の男子の声がする。「ポアリちゃん、大丈夫かな?溺れた人って、どう手当てするの?」「あれじゃない?こう両足を持って、逆さまにするやつ」「それ、喉に食べ物詰まらせた時」 自分は体のダルさで、動けずにいる。 転生です。 転生でございます。 こ...
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序 章 『努力と歩有と転生』

廊下の開いた窓から、涼しい風とそれに運ばれてきた祭囃子の音が聞こえる。 それはどこか下手糞で、時々リズムが崩れていたり、音の大きさが一定ではなかったりしていた。 どうやら、近くの公園で町内の子供達が、来週の祭りに備え、練習しているらしい。(...