何かが集合体の中で輝いたかと思うと、大河が持っているものが光っているようだ。
彼がそれを手にすると、更に光り輝きだした。
「あぁ、あれ。アクア君にあげたと思ったんだけど、彼が持っていたのか」
「あれ、何ですか?万年筆にも見えますが」
理事長に初めて見る物、その光景について質問する。
「まぁ、魔法石の亜種というか強化版という感じかな。近くの物や生き物から魔力を吸い取って、増強させる。後、自分が思った姿に変化する」
彼女の説明がざっくりしていて、よく分からなかったが、彼の方を次見た時、何となく理解した。
「あれ、魔法の基礎がなくても、コツさえ掴めば魔法が使えるんだよね」
彼が持っている万年筆の形が変化する前に、精霊の集合体に高速の光が走る。
そして、そのスライム状の体が、内側から砕けた。
それは内側から硬化しているようにも見える。
理事長は結界を張り、落ちてくる残骸から自分を守る。
彼の持っていたそれは、万年筆の形ではなく、日本刀に近い長物に近い形になっていた。
集合体の体が崩れ、彼らは解放されるが、三階の高さから落下する。
「怖い、怖い!今、飛び降りしてもいい事ないよ!」
大河の声がその場に響く。
『アクア君、起きて!』
「――あっ、寝てたわ!」
アクアは目覚め、ゼノンの干渉が戻ってくる。
アクアは彼を腕で掴み、自分の方に引き寄せる。
そして、魔法石に力を籠め、その場に風を生み出した。
体がふわりと浮かび、着地しやすいような体制になり、静かに二人は地面に着地する。
「着地!どうだ?すごいだろ?」
そして、アクアはどや顔で言う。
「お前は今回、何もしてないだろう。ふわっと、着地しただけだよ。大河君、大丈夫?」
彼の右手に持っている刀が万年筆に戻った。
「アクア、ポアリちゃん。僕の願い事叶ったよ!魔法が使えた!」
この泉の御利益が治癒だけだという事は、彼らに黙っているべきか。
「そうだね……」
すると、その残骸の一部がまた盛り上がり、触手が自分を掴んだ。
「えっ?」
次は私がつるし上げられる。
「ポアリ!」
「ポアリちゃん!」
その集合体はワゴン車程の大きさで、まだまだ戦い足りないようだ。
「アーノルドさん、私食べられるよね?」
『そうですね。彼同様、休眠モードに切り替わりますね』
もう、大河の万年筆はオーバーヒートしており、しばらく使えないだろう。
「一週間くらいは覚悟したほうがいいですかね……」
『そうですね……』
そんな会話をしていると、集合体の頭上が開き、大きな口が現れた。
その時、自分よりも更に上のほうから、雷の球が打たれ、集合体はまた砕け、そのまま散った。という事は私を吊るしていた触手も切れ、私は泉の中に落下する。
浅瀬だったから休眠しなかったものの、服がビチョビチョになる。
「危なかったな、ポアリ」
そのエネルギー弾を撃った人物が大木の枝から、地面に綺麗に着地する。
私はその人物を知っていた。
「フォーレンじゃん。えっ、どうしてここに?」
「ふふっ」
彼は微笑み、そして言う。
「ポアリ、大丈夫だったか!怪我していないか!」
「僕、ポアリちゃんじゃないです……」
私ではなく、大河の肩を掴み揺らしていた。
彼は見ない間にポンコツ化していた。
立ち上がり、泉から出て彼の前に行く。
「いや、ごめん。俺、目が悪くなっちゃって。眼鏡かけていたんだけれど、それも無くしてしまって……」
彼は近くの木に話しかけていた。
「私はこっちだよ」
彼の顔を掴み、こっちに向かせる。
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