天空の蛹(てんくうのさなぎ)1部 最終章『終わってから始まる物語』④ 社宅の扉を強く叩く音で、マユは目を覚ます。 玉之丞を抱っこしながら、扉を開けると、そこには浩三と佐市の姿があった。 ちょっと出来上がっているようで、少し酒臭い。「お久しぶり!」「あー、ど、どうも――」 久しぶりに会う父の友人と、その息子に戸... 2025.07.04 天空の蛹(てんくうのさなぎ)1部小説長編
天空の蛹(てんくうのさなぎ)1部 最終章『終わってから始まる物語』③ 玉之丞の尻尾がペチペチと顔に当たり、マユは目を覚ます。(思い出した、そうだった……にしても嫌な夢を見たな……後……何故、玉之丞が……) 彼は籠の中で眠っていたはずだと数秒考えるが、理由はすぐ分かる事だろう。(湿度、凄いな……) 雨が屋根や窓... 2025.07.02 天空の蛹(てんくうのさなぎ)1部小説長編
天空の蛹(てんくうのさなぎ)1部 最終章『終わってから始まる物語』② 北洋の指令室は、窓ガラスが張られ、周囲が見渡せるようになっている。「ねぇ、シラちゃん。もうやめよう……こんな事……北洋の工作員なら、東洋に亡命すればいいじゃない?新しい戸籍を作れば、新しい居場所が……」「駄目だ。私は北洋人として生まれ、生き... 2025.07.01 天空の蛹(てんくうのさなぎ)1部小説長編