ドライヤーの音が微かに聞こえて、目を覚ました。
(頭が痛い……)
知らない部屋の天井が見え、少し動揺する。
「ここ、どこだろう……」
ベッドから体を起こし、確認するとやはり自分の家ではなく、誰かの家の寝室である。
(誰の家だろう……)
志摩だろうか。
(いや違うな、志摩なら自分の家に運ぶ……)
だとすれば、それ以外の人物。
例を挙げるとすれば、飲み会で関わっていた人物。
城永か、村雲か。
(城永君ならいいけど、村雲君なら困る……)
前者なら当たり、仲の良さ的には後者な気がしてならない。
(やっぱり、村雲君なのかな……)
頭を抱えながら、横に振る。
髪を乾かし終え、浴室から出てくる男性。
『おまたせ――』
裸の体に、胸まで巻かれたタオル。
『もう、春島君。酔いつぶれて、運ぶの大変だったのよ……』
たくましい二の腕が自分の腕を掴み、顔を近づける。
ベッドは一つ、することも一つ。
(自分は村雲君を抱けるのだろうか――)
いや、自分が抱かれる側だろうか。
そんな想像をしながら、ガクガク震えていると、シャワールームから髪を乾かし終えた男性が出てくる。
「おまたせ」
その声の方を見ると、バスローブを着た童顔で若々しいオメガの姿があった。
「えっ、嘘――」
自分がずっと憧れていた男性が目の前にいる。しかも、裸に近い姿で。
「男二人だと、ベッド狭いかもね」
そう言い、彼はその恰好のまま、自分が座っているベッドに乗ってくる。
ただ、彼は物凄く酔っており、目が少し虚ろな印象を受けた。
そして彼はこんな事を言い出す。
「ねぇ、しちゃわない?」
そのしちゃうというのは勿論、性行為の事で、彼は自分の股間部分を優しく撫でる。
(あー、ヤバい……)
ぐでんぐでんの彼は、自分の初恋の相手という事もあり、かなり色っぽく、自分の情欲が掻き回せられた。
彼は自分の頬に口づけをし、頭や髪を撫でて、そのまま唇に指で触れる。
自分が子供の頃から望んでいた事だから、とても嬉しい。
だが、引っ掛かる事が一つ、それは彼の実子の事だ。
「ちょっと、待って。さっき、子供いるって言ってたよね……」
それを口にすると、彼は戸惑ったのか、スキンシップが止まる。
「独身の自分が言うのは変だろうけど、お子さんに悪くないかな?」
しばらくその場は静まり、自分は震える口で話をする。
「小学何年生だったか、忘れちゃったけど、城永君に振られちゃった事、今でも思い出すんだ……夢にだって出る事もある……」
それは、あくまで言い訳で、今だって本当は彼と恋人になる事を期待している自分がいる。
「その後、言いふらされた事もあるし、今も正直少し怖い……」
見た事もない彼の実子を思うのは、少しお門違いな気もするが、どうしてもそれが引っ掛かった。
しばらく無言の後、彼が発した言葉に自分は驚愕する。
「ごめん、覚えてない」
「――えっ?」
卒業までの長い間、ずっと言いふらされていた事実は、自分にしか残っていなかった。
(嘘……そんなに軽かったの?)
という訳か、彼が覚えていないという事は、実際自分の記憶が正しかったのか疑問である。
(自分がそう思っていただけ、事実は違う?)
そう思い動揺すると、彼はまた自分の股間をまさぐり始めた。
「やめて、勃っちゃうから――」
「じゃあ、お詫びセックスするよ。それでチャラ」
そう言い、彼は自分のズボンを下ろし、ボクサーパンツ越しに、性器に触れる。
自分は憧れの人物に愛でられていた為か、半分勃っており、理性とは別に本能が、彼と一体になりたいと望んでいるように感じた。
「下着、脱がすからね」
下着が彼の細い指でずらされ、自分の性器が露出する。
「待って――駄目――あっ――」
彼が自分の陰部に顔を近づけ、息を数回吹きかけた。
そして、そのまま自分の陰部を舐め、口で咥える。
「駄目だって――お子さんや旦那さんに申し訳ない――」
そう言うと、彼は陰部から口を離し、唾液が線を引いた。
「もう離婚してるよ――」
その唾液まみれの口で、そう言う彼が愛おしく、性的に感じられ、自分のボルテージがグングンと上がっていく。
彼はそう言った後、舌なめずりをし、自分の陰部を指で摩る。
(あー、とてもいい――)
彼は結婚歴があるからか、とても手慣れていて、自分が良いと思った場所を言わなくても察し、そこを攻め、弄り倒した。
「そろそろかな――」
彼が自分の陰部にゴムを被せ、ローションを自身の穴に塗り、馴染ませる。
「久々にするから、緊張しちゃうな……」
そう言い、彼が自分の物を受け入れる。
「うっ――」
「――だ、大丈夫?」
出産経験があると聞いていたから、すんなり入るものかと思っていたが、そうでもないらしい。
それが自分を興奮させる。
「結構、大きいよ、ね?」
「――うん、ごめん」
そう自分が謝ると、彼は意地悪そうな笑みを浮かべ、自分の上で何回も腰を上下に振った。
「うわ、す、すごい――」
自分の体と精神が歓喜する。
「僕の事、好きなんでしょ?じゃあ、とことん付き合ってくれなきゃね」
その時間はとても幸せで、夢を見ているようだった。
(幸せ、とても幸せ――)
酒が入っていた為、何回したか忘れてしまったが、何度も性行為をしたのは事実である。
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