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 第三章『憧れとの再会』⑥

肇が機嫌よく鼻歌を口ずさみながら、春島の部屋に向かう。 すると、部屋の扉の前で体育座りをして、煙草を吸っている男性の姿が見えた。「あれ、志摩じゃん。どうしたの?」「あー、肇じゃん。何か用?」 彼の周りには大量の煙草の吸殻が落ちており、一晩こ...
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 第三章『憧れとの再会』⑤

ドライヤーの音が微かに聞こえて、目を覚ました。(頭が痛い……) 知らない部屋の天井が見え、少し動揺する。「ここ、どこだろう……」 ベッドから体を起こし、確認するとやはり自分の家ではなく、誰かの家の寝室である。(誰の家だろう……) 志摩だろう...
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 第三章『憧れとの再会』④

新宿二丁目にタクシーで移動する。 飲み屋街、個人経営のバーが並んでいる一角に彼の店はあった。 店に入ると、バーカウンターにいた従業員が挨拶をする。「いらっしゃい。あぁ、おかえりなさい」 カウンターにいたのは、小綺麗にしている若い女性だった。...
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 第三章『憧れとの再会』③

「ラストオーダーのお時間ですけど、追加注文ございます?」「皆、ラストオーダーだって!追加の飲み物頼む人は頼んじゃって」 店員が村雲にそう知らせに来て、彼は全員に届く声でその場に言うが、皆出来上がっており、話を聞いていない。「とりあえず、生ビ...
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 第三章『憧れとの再会』②

時が流れ、再来週の土曜日、同窓会。 まぁ、同窓会と言っても、自分も志摩も東京出身で、大学や就職でも地元を離れていない為、指定の居酒屋で顔見知りと安酒を飲むというだけ。「緊張する」「緊張する要素無いじゃん」 自分が緊張した様子で、指定の居酒屋...
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 第三章『憧れとの再会』①

職場である自室で、作業をしている。 コマ割りが終わり、レイヤーを変更する。 下書きの上からキャラクターの線画を描いていると、携帯電話に通知音が鳴り、メールが来ている事に気が付く。 発進先を見るとそこには、肇の名前があった。『再来週の日曜日、...
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 第二章『好きな人』⑤

「『君は自分のようになるなよ』?」 自分が聞き返すと、肇はそう言う。「変だよね?勝手に噛んでおいてさ」 肇は自分の背中に顔を埋め、少しずつ言葉を出す。「歯形を付けられただけなんだけど、やっぱり気になっちゃうよね……」 その声は細く、元気いっ...
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 第二章『好きな人』④

彼は鍋パーティー改め、カレーパーティーの後、肇が家に泊まる事になった。「このシャツ大きいね」「そうか?」 シャワーを浴びた後の、肇の彼シャツ姿にエロ漫画家の自分は大興奮。(着ているのは、自分のじゃなくて志摩のワイシャツだけど、これはこれで良...
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 第二章『好きな人』③

「ただいまー」 汗ダクダクで帰ってくると、エプロンをした志摩が自分に声をかけてきた。「おかえり。今日はカレーだぞ」「そりゃあ、匂いで分かるよ」 玄関に荷物を置き、傘立てに入れている靴ベラを手に取り、使用する。「あっ、漆先生。おかえりなさい」...
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 第二章『好きな人』②

目的地付近の駅、その改札に自分の携帯を当てる。 音が鳴り、決済が終わると、担当編集が自分よりも先に気がついたようで、手を振る。「あっ、先生こっち」「ごめんね。付き合わせてしまって……」 申し訳なさで視線がぎこちなく動く。「いいんですよ。何と...