オメガバーズ(BL)

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 第四章『覚悟』⑥

マップにはフラワーガーデンと表記されている。 周囲には沢山のピンク色のコスモスが咲き乱れていた。(絶景だなぁ……) ただ、目的はこの景色を見る為ではなく。「ちょっと、トイレ行ってくるわ」 花壇の近くにあるトイレだった。「早く行けよ。漏れそう...
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 第四章『覚悟』⑤

フードコートの野外席で、二人ずつ腰にかける。 自分は勿論、恋人である城永と一緒で、注文したハンバーガーを待つ。テーブルに付けてあるパラソルを眺めていると、店員が待ち番号札の番号を呼び、自分が席を立とうとすると、城永が取りに向かった。「僕、行...
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 第四章『覚悟』④

四人でアトラクションを堪能していると、時刻は午後一時。 志摩の腹が頻繁に鳴り始め、皆で昼食を取ろうという話になった。「志摩お前、クレープの後に、チェロスとか、沢山食べてたじゃん」「お腹空いた――」「もう――情けないなぁ――」 呆れた反応の漆...
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 第四章『覚悟』③

遊園地は子供向けの施設かと思っていたが、思ったより、楽しめた。 高所恐怖症の志摩が、ジェットコースターに乗りたいと言い出した時は、物凄く腹が立ったが、それ以外はとても良かった。「ねぇ、春島君。お化け屋敷入ろうよ」 城永はそう言い、お化け屋敷...
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 第四章『覚悟』②

県営バスで山を登る。 二人席に城永と座ると、その後ろの二人席に志摩と肇が座った。 自分の住んでいる地域は蒸し暑く、まだ残暑という雰囲気だが、山の方は涼しく、木の品種によっては紅葉が始まっていた。 窓側に座っている城永の方を見ると、周りの木々...
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 第四章『覚悟』①

担当編集の高井がデジタル原稿のコピーを確認する。「今回も絶好調ですね、先生」「いやぁ――」 自分は苦笑いする。 本当にこの原稿が絶好調なのだろうか、女の子が脱がされ、吐息を上げているのが、そんなに素晴らしい事なのだろうか。 自分が少し憂鬱さ...
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 第三章『憧れとの再会』⑩

大皿に入ったアクアパッツァと、半熟卵が入ったコブサラダが漆の手でテーブルに置かれ、それをキラキラした瞳で志摩が見ている。(((でかい犬だなぁ……))) 志摩以外の三人はそう思いながら、小皿でそれを分ける。「先生、料理上手なんだね」「いやぁ、...
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 第三章『憧れとの再会』⑨

「ただいまー」 自分のマンションに辿り着き、扉を開ける。「先生!おかえりなさい!」 すると、来客が元気よく、自分を出迎えした。「ごめんね、約束してたのに……」 そう言い、近所のケーキ屋で購入したケーキの箱を渡す。「うん、大丈夫。志摩がいたか...
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 第三章『憧れとの再会』⑧

(あー、困った。実に困った――) 現在、時刻は午後四時を回ろうとしていた。 肇との約束を大幅に遅らせて、帰宅しようとしているのだが。「そういえば家、意外と近かったんだね」「そうみたいだね」 城永が一緒にいた。 いや、ついてきてしまったという...
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 第三章『憧れとの再会』⑦

カーテンの隙間から差す光で、自分は目を覚ます。 隣にはずっと好きだった、憧れの人がスヤスヤ寝息を立て、眠っている。(幸せな朝だ……) 彼の頭に顔を埋めると、シャンプーの匂いだろうか、甘い匂いがした。 バニラの匂いを更に香ばしくした感じだ。(...